垂秀夫氏が語る、日本が中国と向き合うための戦略的外交 - 尖閣諸島問題への断固たる姿勢と、国会議員の知略向上が不可欠
7月20日に投開票される参議院選挙を目前に、各候補者の熱戦が繰り広げられています。当選を果たせば、国の利益をかけて中国との外交交渉を担う場面も想定されます。外務省で対中外交に一筋のキャリアを歩み、6月には回想録『日中外交秘録 垂秀夫駐中国大使の闘い』(文芸春秋)を出版した立命館大学教授の垂秀夫前駐中国大使は、産経新聞のインタビューに応じ、日本の国会議員に向けて「中国に行け」と力強く訴えています。日本のメディアからは「中国が最も恐れる男」と称される垂秀夫氏が、今、日本が取るべき対中外交の要諦を語ります。
尖閣諸島問題は日本が「強い」という姿勢を示すことが重要
中国の海洋進出は止まらず、尖閣諸島周辺での活動も活発化しています。垂秀夫氏は、この問題について「日本が強いという姿勢を明確に示すことが不可欠だ」と強調します。曖昧な態度は中国をさらに刺激するだけであり、毅然とした態度で対応することで、中国の行動を抑制できると考えます。具体的には、自衛隊の警戒活動を強化し、周辺国との連携を深め、国際社会に対して日本の立場を明確に発信することが重要です。
国会議員こそが、中国情勢を深く理解する必要がある
垂秀夫氏は、日本の国会議員に対して「まず勉強を」と強く主張します。中国の政治体制、経済状況、軍事力、そして国民の意識など、多岐にわたる分野を深く理解することが、効果的な外交交渉を行う上で不可欠です。表向きの友好関係だけでなく、中国の真の思惑や戦略を読み解く能力が求められます。そのためには、中国への派遣や現地での調査研究を積極的に行うべきです。
外交交渉における「知略」の重要性
外交交渉は、単なる駆け引きではありません。相手国の文化、歴史、そして価値観を理解し、それに合わせた戦略を立てることが重要です。垂秀夫氏は、自らの経験から、中国との交渉においては、感情論ではなく、論理的な根拠に基づいた議論を展開することが効果的だと語ります。また、交渉の際には、常に相手国の立場を理解しようと努め、Win-Winの関係を築くことを目指すべきです。
日本の対中外交の未来 - 信頼関係構築の必要性
中国との関係は、決して容易ではありません。しかし、対話を諦めることなく、信頼関係を構築していく努力が必要です。垂秀夫氏は、日本の国会議員に対して、「中国との対話を通じて、相互理解を深め、共通の利益を見出すことこそが、日本の外交の使命だ」と訴えます。そのためには、政府だけでなく、経済界や学術界など、幅広い分野の協力が不可欠です。
日本の国益を守り、平和な国際関係を築くためには、国会議員一人ひとりが、中国情勢に対する深い理解と、戦略的な外交能力を身につけることが求められています。垂秀夫氏の言葉は、私たちに、その重要性を改めて認識させてくれます。