地下鉄サリン事件30年:警視庁幹部の「記憶の伝承」活動、教訓を未来へ

2025-03-07
地下鉄サリン事件30年:警視庁幹部の「記憶の伝承」活動、教訓を未来へ
産経新聞

地下鉄サリン事件から30年、警視庁幹部が経験と教訓を後世に伝える

地下鉄サリン事件から30年となる2025年を迎えるにあたり、事件直後からオウム真理教(現アレフ)に関する捜査を指揮してきた警視庁の捜査幹部(60代男性)が、自身の経験と教訓を後進に伝える「伝承活動」を開始しました。定年退職を目前に控え、現役最後の活動として行われるこの取り組みは、事件の記憶を風化させず、未来への教訓として活かすことを目的としています。

「教団の危険性を地域に」 警官から住民へ、伝承への期待

東京都内のある警察署で開かれた教養講座では、幹部が自身の捜査経験や事件の真相、教団の危険性について語りました。30年以上の歳月をかけてオウム真理教の捜査に取り組んできた幹部は、「教団が引き起こした事件の重大さを、警察官だけでなく、地域住民にも理解してもらうことが重要だ」と強調。後進の警察官たちに、事件の教訓をしっかりと受け継いでいくことを期待しました。

昭和58年入庁、地下鉄サリン事件を皮切りに

昭和58年(1983年)に警察庁に入庁した幹部は、平成7年(1995年)3月20日に発生した地下鉄サリン事件を経験。事件後、オウム真理教の捜査に一貫して携わり、教団の組織構造や思想、犯罪手口について深い知識と経験を蓄積してきました。その経験は、その後の教団幹部の逮捕や、教団関連の事件捜査にも大きく貢献しました。

記憶の風化を防ぎ、未来へ繋ぐ教訓

地下鉄サリン事件は、日本の社会に大きな衝撃を与え、テロリズムに対する意識を高めました。しかし、事件から時間が経つにつれて、記憶が薄れ、教訓が失われるのではないかという懸念も存在します。今回の伝承活動は、そうした記憶の風化を防ぎ、事件の教訓を未来へと繋いでいくための重要な取り組みと言えるでしょう。

今後の展望:地域社会への啓発活動も

幹部は、今後は警察内部だけでなく、地域社会に対しても積極的に啓発活動を行うことを考えています。講演会やイベントなどを通じて、オウム真理教の危険性や、テロリズムに対する備えについて、より多くの人々に理解を深めてもらうことを目指しています。地下鉄サリン事件の教訓を活かし、安全で安心な社会の実現に貢献していくことが、幹部の今後の目標です。

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